本文へジャンプ
助産師のあかねホーム 道具箱 図書館 助産院 リンク メディア BBS ブログ

マタニティ1999年11月号

傷つきたくない。
だから、人に期待しない人が増えている。


奥田 朱美

 3年ほど前から、インターネットで、全国の妊婦さんから相談や質問を受けています
。健康相談する人や、地域に友達がいなくてアクセスしてくる人などさまざまですが、
最近、特に気になったのは、文章の最後に、「試しに書いてみました」とか、「ヒマで
したら返事をください」と書く人。こちらとしては、一生懸命に相談に答えていますが
、それに対して、ついでに書いたように言われては、内容がどんなに真剣でも、冷やか
しなのかなと思えてしまうんです。それでも、こちらが親身になって返事を書くと、「
ていねいな返事をありがとうございます」と、感謝の返事が返ってきます。
 そのとき、ああ、この人たちは、答えを期待しないで発信しているんだな、と感じま
すね。きっと、期待して返事が来なかったとき、傷つくのが怖いんでしょう。
 そのような人のメールは、最初は短いのですが、何度か交換をするうち、徐々に自分
のことを長く語るようになりてくる。やはり、冷やかし半分に見えてもこ心は迷路に迷
いこんでいたんだなと、改めて感じますね。
 一方、最後まで短い文章のままで終わってしまう人もいます。そういう人こそ−番の
問題で、悩みが沈殿したまま、弧独に陥ってるのではないか、と。相談する人も、身近
にいないと思うと、とても気掛かりです。

ネットで心を開いたら、次に地域社会に踏み出して

 インターネット社会も、人間社会も、同じだと私は考えています。ネット上で心を開
けない人ならば、地域社会で心を開けるものではありません。そして、逆もしかり。相
手の本当の気持ちが見えなければ、こちらも返事が書けないし、立ち入るすべがありま
せん。 人とのコミュニケーションツールとしてインターネットを活用するには、まず
自分の心を見せる努力が必要です。それができたら、今度は地域の方に声をかけてみま
せんか。ネット上でできたのなら、うまくいく可能性も高くなると思うのです。インタ
ーネットだけにはまるのではなく、妊婦さんが社会へ働きかける第一段階として活用し
てもらえたら、うれしいと思うのです。